第8章 秋は夕暮れ②
「何で、、、ッ」
荒北が再び掴みかかろうとしたのを、巧はスッと右手を出して制止した。
「僕は暴力は嫌いなんだ。だからその代わり」
巧の顔は笑っていた。
「腕相撲で勝負しよっか?」
「アァ〝!?」
突然の提案に荒北は驚き、巧に掴みかかろうとした勢いのまま前につんのめった。
「なっ!何で腕相撲なんだヨ!!」
「いや、だって僕はもう戻る気は無いし。だけど、そう何度言ったって君はそんなの許さないんだろ?」
「あったり前だ!!その為にガッコ休んで来てンだヨ!!」
「だったらいつまで経っても君は帰れないし、僕は店を開けられない。並行線だ。それは困るから、腕相撲で決めようって言ってるんだ」
「、、、、」
そんなに、、、戻りたくないのか?
ケド、、、
「いいね?君が勝ったら僕は彼女と前の関係に戻る。僕が勝ったら、僕達は戻らない。君は大人しく帰るんだ。」
「そっ、、、そんなので決めていいワケあるかァ!!ボケ!!」
「あれ?もしかして自信ない?笑」
「ハァア!?自信ありまくりだっつーの!!余裕で勝ってやンヨ!!!」
「じゃあいいじゃない。君が勝ったら大人しく言うことを聞く。それが僕を動かせる唯一の方法だよ」
「、、、ッ!」
巧の瞳が光を浴びる。
「余裕で勝てる自信があるならいいでしょ?君が勝てばいいんだ」
ハメられた、、、。
けど、、、やるしかねェ。
「、、、分かった。」
荒北は怪しく光る巧の目を真っ直ぐに見返した。