第8章 秋は夕暮れ②
オッサン、テメェが何を考えてアイツを振ったのかなんて分かんねェ。
ケド、アイツの話聞いて分かった。
テメェがアイツの事どんだけ大切にしてきたか。
なぁ、俺が気づいてねェとか思ってンのかヨ?
昨日、“沙織”ってアイツの名前を呼んだ時、テメェの声がどんだけ優しかったか。
今日、アイツのこと“香田さん”って言う前にテメェが一呼吸置いてるってことも。
、、、そうだろ?
全部バレバレだっつーの!
「ンな奴から施し受けるホド落ちぶれてねンだヨ、俺はァ!!そんなに可哀想か!テメェより不細工でェ!テメェより背が低くくてェ!?ハァ!?かっこつけてンじゃねーヨ!!クソジジィ!!」
なぁ?
ホントはアイツのこと好きなんだろ?
だったらこれ以上、
アイツにあんな顔させんなヨ。
ハッ!つくづくバカだよな?
あんな乱暴な女の為に?
こんな胸くそ悪りぃ男の為に?
何で俺、こんなことしてんだっつーの。
ケド、何でかなァ、、、
自分の気持ちなんてどうでもいいから、
アイツにだけは笑っててほしい、
なーんて思っちまってンだ。