第8章 秋は夕暮れ②
4人がやっと勉強を始めた時、
「お待たせ致しました〜。チョコバナナパフェをご注文のお客様〜」
のんびりとした口調をした男性店員が商品を運んできた。
「はい、俺です」
「新開、またお前はそんな甘いものを頼みおって、、、」
新開が嬉しそうに手を上げると東堂が小言を言った。
「はは、いいんだよ。頭を使うには糖分が必要だから」
「そしてこちらが天使のふわふわパンケーキです」
その名前を聞いた途端、荒北がニヤリと笑った。
「ハッ!天使だってヨ!んな女々しいモン頼むのはどーせ東堂だろ?」
「俺がそんなミーハーなものを頼むわけがないだろう。俺は部活が終わっても健康に気をつけているからな!俺、抹茶パフェ!!」
「はい、こちらです」
「おぉっ!美味そうではないか!」
「、、、どこが健康に気をつけてンだヨ!ってか、え?、、っつーことは、まさか福チャン!?」
「、、、はい」
荒北が恐る恐る見ると、福富が静かに手を上げた。
東堂と荒北は固まってその様子を見ていた。
「何か不満か?」
皿を受け取り福富が2人を見返した。
「い、、、いや、それぞれ好きなモン食ったらいーんじゃねェの?」
「オイ!福にだけ態度が違うではないか!!」
「ウッセーなぁ」
「、、、こちらはベプシと唐揚げとポテトのセットです」
「ハァーイ」
よく冷えたベプシと熱々の唐揚げが荒北の前に置かれた。
「また荒北はそんな物ばかり食べおって!」
「ハッ!俺が何食べよーが俺の勝手だろーが」
「あ、あの、、、」
荒北が東堂を無視してベプシを手に取った時、それまでただにこやかに話を聞いていた男性店員が4人に話しかけた。
「あ?」
その時荒北は初めて男性店員の顔を見た。
「君が荒北くん?」
「ッ!!」
そして気がついた。
目の前で驚いた顔をしている店員が、あの日沙織の頭を撫でていた男だったことに。