第8章 秋は夕暮れ②
「そういえば靖友は今日、クラスの子に勉強会しようって誘われてなかったか?」
ふと思い出したように新開が荒北に尋ねた。
「あー、、、そういや、、、」
完全に忘れてたぜ、、、。
「何ッ!?それは女子からか?可愛い子か!?」
「あー、可愛いっちゃ可愛いナ」
「はは、靖友。あの子は可愛いだろ?クラスで人気の子さ。オマケの男子も付いてきてたけど」
「何だと!?荒北!何故それを早く言わなかった!?」
「あ?ウッセーなァ!俺はそんなの行かねェって断ったからいいンだよ」
荒北は舌打ちをしてそっぽを向いた。
「違う!そうじゃなくて、その女子も誘えばよかったであろう!」
「いいわけあるかァ、バァカ!んなことより、さっさと勉強始めンぞ!!」
「まったく荒北は、、。ここで働いていたあの聡明で美しい女子といい、何故こんなブサイクで愛想のない奴を女子は気にかけるのだ!」
「ぐ、、、」
東堂に沙織のことを言われて荒北は口をつぐんだ。
「うん、確かに!」
「、、、っておい、コラァ!新開!誰がブサイクだァ!?」
「荒北。ブサイクで愛想がない、だ」
「福チャァン!!そこ!訂正しなくていいからァ!」
「あっはっは!荒北!漫才はそこまでにして早く始めるぞ?これでは勉強会にならんからな!」
「誰のせいだヨ!ダ、レ、ノ!?」
失礼な3人に腹を立てつつ、沙織の事を忘れられて荒北は内心ホッとしたのだった。