第8章 秋は夕暮れ②
その日の放課後。
「新開!荒北!いるか!?」
終業のチャイムが鳴るや否や、教室の扉を開けて騒がしく入ってきたのは東堂だ。
「うわっ!なんだァ?ウッセーぞ、東堂!」
「ウルサイとは何だ、荒北。せっかくこの俺が来てやったというのに!」
扉に1番近い席にいる荒北は一瞬驚いたものの、すぐに毒を吐いた。
そんな荒北の態度に東堂はフフンと鼻を鳴らした。
「お、尽八じゃないか。久しぶり!何か用か?」
そんな2人に笑顔で近づいてきたのは新開だ。
「おぉっ!新開!さすが新開は荒北とは違って、人のもてなし方を分かっているな!」
「チッ!何でテメェをもてなさなきゃなんねェンだっての!ウッゼ!」
「ウザくはないな!そんなこと言ってると、お前は仲間に入れてやらんからな」
「?」
「アァ?一体何の、、、?」
キョトンと頭の上に?マークを浮かべる2人を見て、東堂はニヤリと笑った。
「勉強会をするぞ!!」
「ハァ??」
「っつーか何でココなんだヨ!!?」
席に着くなり荒北は声を荒げた。
なぜなら東堂に連れられてやってきたこの場所は、沙織の働く店だったから。
「勉強会すンならもっとあんだろ!図書室とか!!」
「ん?いつも皆で集まるときはココだと決まっているだろう。なぁ、福?」
「、、、荒北、何か不満か?」
「いや、不満ってわけじゃ、、、ないンだケド、、、」
福富に言われて荒北の声はぼそぼそと小さくなった。
そーだ。
東堂や福チャンの言う通り、ここはいっつも来てた場所だし、確かにこないだまで普通に来てた。
、、、っつーか、ここに来るってなるとチョットだけ嬉しい気持ちになって。
荒北はチラリと店内を見回した。
アイツは、、、いねェか。
荒北は安心したような、少し残念なような気持ちになって小さく溜息を吐いた。
ケド今は、、、
俺の頭の中にはアイツがこの場所であの男と
どんな話してたんだろうとか、
どんな顔で笑ってたんだろうとか、
そんなしょーもねェことしか浮かばねェんだ。