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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第8章 秋は夕暮れ②


あれからそろそろ1ヶ月。




まだ間に合う。




どうせ叶わないこんな気持ちなんか




忘れてしまえっての。






大丈夫だ。





最近はなーんか女子から誘われることも、




けっこーあるし。





アイツより可愛い子なんていくらでも








テキトーに見つけりゃいいんだ。







そう思って遠ざけて。






できるだけアイツに近づかないようにして。






声を聞かないようにして。





そしたらアイツから1番遠いこの席も






ちょうどいいんじゃナイ?








なんて、、、








「なになに!荒北、勉強会すんの!?俺も入れて!」
「いいよー、もちろん!」



その声に荒北は我に返った。
断ったつもりが断りきれていなかったらしいことにやっと気がつく。




「なにそれ!俺も俺もっ!」

「アァン?しねェヨ、バァーカ」

「えー!?しないの??」

「う、、、」

「するするー!」

悲しそうに眉をハの字にする天使を目の前に荒北が再び怯んでいる隙に、周りの男子が威勢良く手をあげる。

「、、、ッ!しねェっつってンだろーが!!」

「いつにしようか!?」

「今日でしょ!」

「オッケー!じゃ、放課後、教室でね!」

「おい!コラ!人の話を聞けヨ!!」

「荒北も来るんだぞ?」



勢い付いた男子に念を押されて困った荒北は、不貞腐れたように目を逸らした。
その先には窓から外を眺める沙織がいて。
金色の長い髪が秋風にサラサラとなびいていた。





荒北は舌打ちをして唇を噛んだ。
そして盛り上がるクラスメイト達に向き直り低い声でこう言った。







「、、、俺は行かねェからな」









「えぇー!荒北クン〜ノリが悪いぞー」

「ブーブー!」

「ウッセ!バァーカ!!ほっとけ!」






だけどな





何度そう思い直しても、






何でか見ちまうのはテメェの方で。






その度にスゲェ痛ェのに







この胸は熱くなって、







やっぱ好きだと






わざわざ俺に教えてくンだ。







ハァ、、、マジでバカだと思うだろ?




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