第8章 秋は夕暮れ②
沙織はこの席になってから分かったことがある。
新開は爽やかな顔に似合わず、結構ふざけている。
というか天然?
食の好みもおかしいし、気づいたら何か食ってるし、やっぱりそのポケットから出てくる食べ物の量は半端なくて四次元ポケットの匂いを醸し出しているし、、、ってか、食べ物のことばかりだけど。
本人はいたって真面目で正直で、ふざけているつもりがない分タチが悪い。
佳奈はこんなのが好きなのか。
と、時々やってきては恥ずかしそうに新開と話す佳奈のことを思い出した。
そして、もう一つ分かったことは、
「何だヨ!うっせーな!」
「ねぇ!そんなこと言わないでさー」
荒北は意外と女子と話すということ。
いや、というよりも荒北は迷惑そうにしているが、インターハイでの活躍以降、女子の中での人気が急上昇しているらしい(佳奈が言ってた)。
そして、特に最近沙織が近くにいないということもあって、荒北に話しかけやすくなったとか(別のクラスの奴が言ってた)。
沙織はチラリとちょうど自分とは対称に位置する扉側1番前の席に目をやった。
荒北の後ろ姿とその隣にはクラスで人気の、、、えーと、誰だっけ?
「5組の相沢さんがね、荒北くんと遊びたいんだって!だから今度皆でどっか行こうよー!」
いい話じゃんそれ。
そういう女子の友達はきっと可愛いって相場は決まってんだし?
「行かねェ」
なんでだよ!!
「えぇーいいじゃん!」
えぇーいいじゃん!
「うっせ!俺は受験勉強で忙しいんだヨ!お前も遊んでばっかいねぇでちょっとは勉強しろ!」
ん?勉強がなかったら行くのか?
それにそんな事言ったら、、、
「はぁい、、、ねぇねぇ、じゃあさ今度一緒に勉強しよーよ!」
ってなるに決まってんじゃん!!!
沙織は頭を掻きむしった。
なんか、、、
なんだろうこの感じ。
なんか、すっげーイライラするんですけど!!