第7章 break time③
あぁ、僕は本当に
人の期待を裏切ることが得意だな。
インターハイでもそうだった。
皆の期待を背負って出場したのに
1日目のスプリントも取れず、完走もできず、、、。
箱根学園は総合2位だった。
あの時僕が取っていたら、
僕に完走できる力があれば、
結果は変わっていたかもしれないのに。
こんな僕を認めてくれた先輩方に
結局恩を返せないままで、、、。
こんな奴に期待した自分がバカだった。
皆そう思っているに違いない。
きっと彼女もそんな顔をして、、、
僕は意を決して彼女を見た。
お礼だけ言ってこの場を去ろう。
そしてお時間を使わせてしまい申し訳なかったと
謝って。
だけど彼女は
「また次だな!」
そう言って笑った。
「え、、、?」
次?
次が、、、あるのか?
「誰だってそんなすぐに泳げるわけないって!そんなに上達が早かったら、皆オリンピックに出られるからな」
僕は言葉が出なかった。
「アンタの身体だって作るのに何時間もかかってんだろ?泳ぎだって同じだよ。時間をかけて苦しい思いをしても、少しずつしか成長しない。やってられるか!って思う時もあるよなー」
彼女はその綺麗な瞳でまっすぐ僕を見て、
「それでも諦めたくないんだろ?」
ニカッと白い歯を見せて笑った。
あぁ、そうだ僕は諦めたくないんだった。
彼女は僕の言葉をこんなにちゃんと覚えていてくれたのに。
僕にはまだ次があるのに。
僕が諦めてどうするんだ?
「ハイッ!絶対に諦めません!!」
「うん、頑張れ!」
こんなに自然と笑えたのは
いつぶりだろうか。