第7章 break time③
わけだけれど、、、
「コラッ!何度言ったら分かんだよ!もっと力抜け!!」
「ハイッ!すみません!!」
まずは浮く練習だと言って彼女の手が仰向けになった僕の体を下から支えてくれている。
ただ僕に触れるその手が柔らかすぎて、気持ちよすぎて、そして目の前に見える彼女の顔が美しすぎて。
ダメだと分かっている。
集中しなければせっかく練習に付き合ってくれている彼女にも悪い。
そんなこと、分かっているのだけれど、、、
「テメェ!バカ!さっきから何でひっくり返んだよ!どうしたらそうなんだよ!?」
ごめんなさい、色んなところが硬直してしまいます、、、。
「あーもぅっ!とりあえず、これまで言ったことを1人でやってみろ!もうテメェには荒療治しかないわ!体で覚えろ!!」
えぇっ!!
いきなり!?
、、、まぁ、でももしかしたら1人の方が集中できるかも?
「わ、分かりました!」
僕は目の前に広がる水面を見た。
そう、ここに浮くだけじゃないか。
力を抜いて、何も考えないで、、、。
「いきます!」
思いっきり壁を蹴って、身体をまっすぐに伸ばした。
バランスを崩さないように、お尻を突き出さないように、、、。
しかし
ぷりんっ。
あぁっ!!
やっぱり!!!
僕の尻はなぜか水面から浮き出て、、、。
「ぷはっ!」
水面から顔を上げて彼女を見ると、
「ったくよォ、、、」
彼女は溜息をついて頭をかいた。
その顔は呆れていて。
あぁ、なんて情けないのだろう、、、。
ちゃぷ、、、
手の平ですくい上げたプールの水は、すぐにこぼれ落ちて。
まるで、彼女の僕に対する期待みたいで。
どんどんと無くなっていくのが分かった。