第7章 break time③
「私?私はこれでも昔、水泳で怪物って呼ばれてたんだ」
そう言って彼女は少し困ったように笑った。
怪物?
というか僕が聞いたのは名前だったんだけれど、、、。
「ま、それくらい私は泳ぐのが得意だってことで、今ヒマだし、アンタの練習に付き合ってやってもいいけど」
「えっ?本当ですか?」
この人は口は悪いけれど、さっきの泳ぎは只者じゃなかった。こんな人に教えてもらえたら僕のお尻プカーも直るかもしれない。
それにこの人は、、、
「是非、お願いしますっ!!!」
「って、アンタ声でかいっ!耳痛いし!」
「はは、すみません」
こんな僕のことを
嫌いじゃないと言ってくれた
数少ない人。
そうして、僕と彼女の秘密の特訓が始まったのだけど。
「いやーすごいなぁとは思ってたけど!」
「あ、あの、その!やめて下さい!」
「いいじゃん、これくらい!」
「アブゥゥ!!!」
彼女はアンディとフランクを触るのをやめてくれない。
「あっは!アブーって何それ!?」
僕が嫌がると彼女は面白がってまた触る、
の繰り返し。
あぁ、僕は教えを乞う相手を間違えてしまったのかもしれない、、、。
「もう!さっきから全然練習見てくれないじゃないですか!!」
「あーごめん!つい笑 それじゃあ、始めようか」
まったく、この人は、、、。
そんなわけでやっと練習を開始した、、、