第7章 break time③
「僕は諦めたくないんです!」
まっすぐに目の前の美女を見た。
美女はキョトンとして、、、
もしかして、引いてる!?
あぁ、、、この人があまりにも僕の努力を否定するから、つい必死になってしまった。
いつも、、、そうだ。
頑張れば頑張るほど周りは僕から距離をとっていく。
僕を認めてくれるのは、自転車競技部のみんなだけ。
そんなの分かりきっていることだったのに。
「ふっ」
ほら、やっぱりそうじゃないか。
また、、、バカにされる。
もう、お願いだから放っておいてくれ。
僕は1人でも、、、。
バシャン!!
俯く僕の顔に水が跳ねた。
驚いて顔を上げると、
あれ、あの人がいない?
プールサイドにはあの人が着ていたジャージが裏返しに脱ぎ捨てられていて、、、
「ぷはー!」
「うわっ!!」
突然、僕の目の前にあの人が現れた。
再び僕の顔にはねる水。
「な、何なんですか!」
「あはは、アンタ、変わり者だって言われるだろ?」
この人は人の話を無視して、、、
さすがの僕もだんだんと腹が立ってきました。
「だったらどうだって言うんですか?」
「いや。面白いなぁって」
面白い?
僕がバカみたいに努力してる姿が面白いのか?
こんな出来損ないの僕が頑張っているのがそんなに面白いのか?
「、、、ッ!も、、、」
もう帰ってください!
そう言おうとした時、
「だけど私はアンタみたいな変人、嫌いじゃないよ」
そう言って彼女はニッコリと笑った。
水に濡れた金色の髪が朝日に照らされてキラキラと輝いて、
もしも人魚がいたら
きっとこんな感じだろうか。
そんなことを考えた次の瞬間、サッと彼女は水の中に潜った。
水の中に見えるその姿はまるで水と遊ぶように、自由で、気持ち良さそうで。
「本当に、、、人魚、、、?」
「ぷはぁ!」
彼女はまた僕の前で顔を上げて、水しぶきがキラキラと輝いた。
「久々に泳いだけど、いけるもんだなぁ」
「あなたは、、、一体?」