第6章 秋は夕暮れ①
だけどな、、、
サッと水面からプールサイドに上がる沙織。
キャップとゴーグルを外すと、綺麗な金色の髪から水しぶきが飛ぶ。
「おぉー、、、」
と周りから溜息のような歓声が上がった。
荒北は小さく舌打ちをした。
「フゥ」
荒北の見開かれた目と、息切れ1つせず、短く息を吐いて顔を上げた沙織の目が合う。
ドクンと跳ねる心臓。
「ケッ!」
荒北はサッと目を逸らした。
そういう姿を他の奴に見せてンじゃねーよ、バァーカ!
「なぁ、今香田こっち見てなかった?」
「俺、ちょっとドキッとした、、、」
後ろの男子達がコソコソと話す。
ホラ、こーいう奴らが出てくンだろーが。
「バァーカ、テメェら。アイツの外面に浮かれてンじゃねェよ。中身は何も変わってねェんだからヨ」
「、、、、」
荒北の言葉に顔を見合わせる男子達。
荒北はその沈黙に居心地が悪くなりそっぽを向いた。
お、思わず口出ししちまったじゃねェか!
っつーか、何でコイツらはニヤニヤしながら黙ってんだヨ!!
クッソ!なんかスッゲーイライラすンぜ!それもこれも、、、全部アイツのせいだ!
ったくあのバカは一体何考えて、、、、
「何の話?」
その声に荒北の思考は止まった。
恐る恐る目線を正面に戻すと、すぐ目の前に沙織がいた。
「ハァ!?」
荒北は飛び退いた。
「ハァ!?じゃねぇし」
「何でテメェがここにいンだよ!」
「私の泳ぎどうだった?」
「っつーか話聞けヨ!!」
すぐさまツッコミを入れた荒北だったが、真剣な眼差しをする沙織を見て沈黙した。