第6章 秋は夕暮れ①
「絶対に遅刻すんなよ」
その沙織の言葉通り荒北は遅刻しなかった。
それどころか生まれて初めて、1番乗りで教室に入った。
そんなに早く登校するつもりはなかったが、沙織の話したいことというのが気になって眠ることができず、部屋にいても落ち着かず、、、誰よりも早く学校に来てしまったのだ。
そして教室でもソワソワしながら沙織が来るのを今か今かと待っていた。
それなのに、、、
オイ、、、何でアイツは未だに来てねェんだヨ。
もう授業始まってンだろ。
しかも今日は1限目から水泳じゃねーか!
、、、体力使うんだヨ。
こんな眠ィ状態で、、、最悪だ。
荒北は頭を抱えた。
クッソ、人には遅刻すんなとか言いやがったクセによォ、、、
テメェは遅刻してンじゃナァイ!!!
「お、、、おい、荒北。あれ、、、」
隣に座っていた奴が荒北の肩を叩いた。
「アァン?何だよ!だァから俺は女子の水着なんてどーだって、、、」
頭を上げて文句を言う荒北。
しかし周りの男子達の様子がおかしい。
皆一点を見ている。
ア?なんだ?
ゆっくりと振り向き、その先を見る。
「はぁ!?」
そこには水着姿の沙織がいた。