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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第1章 春はあけぼの


「ハァー」
翌日、沙織は席に座っては立ちを繰り返しては頭を抱えて大きな溜め息を吐いた。

どうしよう、、、気まずい、、、。

あの後、佳奈から全ての事情を聞いた。自分の早とちりで佳奈の恩人である荒北にタックルをした上、腹の上に飛び乗った。プラス数々の罵声付き、、、。
情けなくて夜も眠れなかった。
本当は学校に来るのも忍びなかったが、謝らなければいけないと、早めに登校したのだ。
なのに、、、
「クッソー!!何でアイツは来ないんだっっ!」
沙織は叫び、ドカンと席に座る。
やたら大きな貧乏ゆすりが止まらない。
クラスメイト達は怯えていた。
「なんか、、、今日は一段と機嫌が悪いな、、、」
「お前何かしたんじゃねーの?」
そんなヒソヒソ話も沙織の耳には入らなかった。

もー我慢できないっ!
沙織はガタンっと立ち上がった。あまりの勢いに倒れた椅子もそのままにして、廊下へと走り出した。
扉を開け、勢いよく廊下に出る。
するとそこに朝の練習を終えた新開と荒北がいた。
「わ!!」
突然の出来事に沙織は固まった。

あ、え?ここで会っちゃう、、、!?
「あ、、、あらき、、、」
カチコチになった沙織の肩を新開がポンと叩いた。
「香田さん、オハヨ!廊下に飛び出したら危ないぜ?」
新開はそう言って笑い、教室に入っていった。
その時なぜか人差し指で撃たれた。

??

荒北は固まったままの沙織を一瞥し、新開に続いた。
「新開!テメェはいちいちキザなんだよ!バァカ!」
「靖友も見習えよ」
2人はそんな会話をしながら、席についた。

あ、、、れ?
会ったら絶対に文句を言われると思っていた。
私には文句を言う価値も無いってことか、、、?

春の風が吹き、教室のドアをガタガタ揺らした。
その風は沙織の身体にポッカリと空いた穴を吹き抜けて、どこか遠くへ行ったようだった。
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