第6章 秋は夕暮れ①
「えぇ!?何それ!アンタなに!犬を犬とか言うと怒るタイプ!?ってか、それ待受じゃん!えぇー!?こんな可愛いの待受にしてんだ!!もうーわけが分からない!」
「うっ、、、」
ったく、だから見せたくなかったんだ。
、、、ケドよォ。
マジでどーかしちまってるぜ。
「ウッセーよ」
「プッ!アハハハ!!」
「んなっ!テメェ、笑ってンじゃねーヨ!ったく、さっきまで泣きそうになってたクセによォ、、、」
こンなにバカにされても、テメェが楽しそうに話してる。
それだけで綻びそうになるこの顔を今も必死で抑えてる。なんてナ、、、笑
「ハァ、、、あーそれは、、、」
あーあ、こんなの誰にも言えねェナ。
、、、もちろん福チャンにもだ。
荒北はニヤニヤと何かを考える沙織を見た。
あの日からずっと考えてた。
何でコイツと話してるとこんなに楽しいんだって。
何でインターハイでほんのチョットでもコイツの為に走りたいと思ったんだって。
何でコイツに受け止められた時、あんなに穏やかな気持ちになったんだって。
そんで今日は、、、
腕を掴んでテメェに泣かれても何であんなに必死で追いかけたのか。
新開と笑って話すテメェを見て、何であんなに悔しい気持ちになったのか。
、、、なぁ、今やっと全部わかったんだ。
「もういいや」
そう言って目の前で沙織がケラケラと笑った。
香田沙織。
お前が好きだ。
「何だよそれ」
ハァ、、、
ったくよォ、、、そんな顔で笑うなっつーの。
眩しくて、、、
期待しちまうだろーが、色々と。