第6章 秋は夕暮れ①
「、、、可愛い」
「だろ?」
アキちゃんの写真を見てそう呟いた沙織に、荒北は満足そうに笑った。
今、見せている写真はこの前、実家にいる妹から送られてきたばっかりのとっておきの一枚だ。
っつーか、ホントは誰にもアキちゃんの写真を見せるつもりはなかったんだケド、、、
「うん、、、」
荒北はそう言って大人しくアキちゃんの可愛さを認める沙織の顔を窺った。
、、、ったく。しゃあねェよナ。
なんか変な勘違いをしてたみてェだし。
コイツは口も態度も悪いクセに、変なトコ気にしやがってタチが悪いったらねェ。
、、、ケド、まぁ、これですぐにいつも通りになンだろ。
「ってか犬かよ!!!」
そう荒北が考えたのも束の間、 突然ハッとしたように沙織が叫んだ。
ホラ、人様の犬を犬とか言うあたりとかナ。笑
「ええっ!まさかの、、、アキちゃん、犬!?マジかぁ、、、」
荒北の目の前で頭を抱えて混乱する沙織。
やっぱバカだな、コイツ。
アキちゃんが俺の彼女とか、、、ねェっつーの。笑
それでその彼女が怒ってるから
俺がテメェを避けてるだァ?
ンで俺からその話をされると思って、あんなに必死になるなんてよォ、、、
「犬とか言うなっての。アキちゃんは、、、」
言いかけた荒北の脳裏に先ほどの沙織の言葉が蘇った。
「、、、だからさ、そんなんでもいいから、、、友達でいたらダメ、、、かな?」
そう言った沙織の目は真剣で、仄かに潤みを帯びていて、その瞳を思い出した荒北の頬を赤く染めた。
、、、バァーカ。俺だってテメェとこうして話したかったっつーの!!
今だってよォ、、、なんでか知んねェけど、、、
「、、、アキちゃんだヨ」
こんな会話ができてるっつーだけで
楽しくて仕方ねェんだ。