第6章 秋は夕暮れ①
ん?
沙織は荒北を見た。
荒北はそんな沙織に頭をかきながら、言葉を選ぶようにゆっくりと話し出した。
「えぇと、何だァ、、、色々とツッコミどころが多すぎて困んだけどォ、、、。何でテメェが俺から距離を取らないといけねェんだ?」
なんだ、、、その質問。
そんなのアンタが1番わかってるんじゃないか。
、、、どうせダメなら早く
言ってくれた方がいいのに。
沙織は一度引っ込めた何か熱いものが再び上がってくるのを感じて、俯いた。
「アキちゃんが怒ってるから」
その答えに荒北は大きく溜息をついた。
んん?
沙織の頭の上に?が浮かぶ。
「アキちゃんが何で怒ってンだよ」
それ!?それを私に聞く!?
「それは、、、」
言いかけた沙織を荒北は見つめた。
その目を見て沙織はあの日の出来事を振り返る。
それは
あの日倒れたアンタを私が受け止めて、、、
抱きしめたから。
思い出した瞬間。あの日の記憶が次々に蘇った。
見た目の割に意外とあるその重さも、
走ってきた割にどこかヒンヤリとした体温も、
抱きしめた瞬間に漂った荒北の匂いも。
そしてそれらを愛しいと感じた気持ちも、
全部鮮明に残っていて。
沙織の体温は急激に上昇した。
顔が熱い、、、
、、、ってか!抱きしめた!?
いや、うん。確かにあの時
思わずギュって、、、って!
んなこと言えるわけがない!!!
沙織はクラクラする頭を必死で回した。
えぇっと、、、
「、、、私がアキちゃんを差し置いてアンタを助けたから」
そうして不安げに荒北を見ると、荒北は再び溜息をついていた。
えぇ!どーゆーこと!?
違う?もしかしてそこじゃない!?
他に何か思い当たる節なんて、、、