第6章 秋は夕暮れ①
何が、、、
バキュンだよ!新開!!このヤロー!!
荒北を目の前にした沙織は、先ほどの新開のバキュンポーズの意味を考えて奥歯をギリリと噛みしめた。
お前はもう死んでいるとかそういう意味!?
何の嫌がらせだよ!確かに死にそうだよ!
いやもういっそ死にたいよ!!!
頭の中で小さな沙織が頭を抱える。
、、、ってか気づいてるならちゃんと教えろっつーの!
バキュン?ハァ!?分かるかァ!!
ザッ
突然、荒北の足音が聞こえてハッと我に返ると、その細い目と目が合った。
荒北の顔はやけに真剣で、それを見た途端、沙織の鼻の奥は再びツンと痛んだ。
何だよ、そんな顔して。
言いたいことはわかってるんだよ、、、
だったら、、、
荒北が息を吸い口を開く。
それに気づいて沙織も大きく息を吸い込み、
「あのな、、、」
当たって砕けろだ!!
「ごめん!!!」
荒北の言葉を遮って頭を下げた。
そしてまたすぐに大きく息を吸い込んでまくし立てた。
「そのっ、アキちゃんが怒るのも無理ないと思う!!
あんなことして、、、誤解するのも分かる。
私も彼氏いるから、アンタが私と関わりたくないってのも分かる。
だけど、私はアンタと話くらいはしたいっていうか、、、。
なんだったら1メートル以内には入らないとかにするし、、、あ!5メートルでも10メートルだったら!?」
そこまで一気に話して息を吐く沙織。
目の前では荒北が細い目を大きく見開いていた。
沙織の心臓は大きく脈打ち、肺が悲鳴をあげていた。
ごめん、荒北。
呆れるだろ?
アンタの話を遮って、こんなにまくし立ててさ。
どんだけ往生際が悪いんだって。
それにそんなに離れて会話なんてできんのかって。
自分でも可笑しいってわかってるんだ。
でもさ、それでも
私はアンタと話すのが楽しかったんだ。
アンタは、、、、
そうでもなかったか。笑
いっつも不機嫌そうな顔をして
笑ってくれたことなんてないもんな。
そんなアンタもアキちゃんの前では笑うのかな?
なーんて、今のは無し。笑
とにかくさ、
アンタが笑ってくれなくても、
どれだけ離れててもいいからさ、
「、、、だからさ、そんなんでもいいから、、、友達でいたらダメ、、、かな?」
これで終わりだなんて言わないで。