第6章 秋は夕暮れ①
荒北の質問に沙織は俯きながら答えた。
「アキちゃんが怒ってるから」
荒北は溜息をついた。
コイツ、、、マジで意味わかんねーな。
「アキちゃんが何で怒ってンだヨ」
「それは、、、」
一瞬言葉に詰まった沙織の顔はみるみるうちに赤くなったが、珍しく小さな声で答えた。
「、、、私がアキちゃんを差し置いてアンタを助けたから、、、」
差し置く?
まさかコイツ、、、
荒北は再び溜息をついた。
「アキちゃんは何だと思ってる?」
「、、、アンタの彼女」
「ブッ!!!」
途端、荒北は吹き出した。
可笑しくて我慢ができなかった。
「なっ!!」
目の前で驚き目を丸くする沙織。
その様子を見て荒北はニヤリと笑った。
「ハッ!バァーカ!今、アキちゃんの写真を見せてやんヨ!!」
ポケットを探ってスマホを取り出す。
「はぁ!?別に私は、、、」
「ホラよ!!」
顔の前で手を振り拒否する沙織に荒北はスマホを差し出した。
そして再びニヤリと笑い、こう言った。
「けっこー可愛くナイ?」