第6章 秋は夕暮れ①
ザッ
荒北はいつもよりも距離を取って沙織の前で立ち止まった。
チラリとその顔を伺うと沙織の目はまだ少し赤みを帯びているのが分かった。
なんつーか、、、
こんなに逃げ出してェと思ったのは初めてだ。
ケド、、、
荒北は背中に隠していたペットボトルをぎゅっと握りしめて沙織を見た。沙織と目が合う。
やっぱ俺ァ、
テメェとコイツを飲みてェんだ。
だから、、、
そして口を開こうとしたその時、
「あのな、、、」
「ごめん!!!」
突然沙織がバッと頭を下げた。
荒北は目を丸くした。
「は?」
何のことだか分からない荒北の疑問を遮って沙織は話出した。
「そのっ、アキちゃんが怒るのも無理ないと思う!!
あんなことして、、、誤解するのも分かる。
私も彼氏いるから、アンタが私と関わりたくないってのも分かる。
だけど、私はアンタと話くらいはしたいっていうか、、、。
なんだったら1メートル以内には入らないとかにするし、、、あ!5メートルでも10メートルだったら!?」
そこまで一気に話した沙織はパッと荒北の手を取り、真剣な顔で荒北を見た。そして深呼吸をしてこう言った。
「、、、だからさ、そんなんでもいいから、、、友達でいたらダメ、、、かな?」
沙織の真っ直ぐな瞳に見つめられて、荒北は思わず後ずさった。
な、、、なんだ、コイツ。
何言ってんだ?アキちゃん??
何でコイツがアキちゃんのこと知って、、、
、、、っつか手ェ!!
えぇ?触られるのも嫌なんじゃなかったのォ!?
荒北のこめかみに汗が流れる。
どういう事だ、、、?
どういう事だヨ!?
沙織は何も答えない荒北を見てため息を吐いた。
「ハァ、、、やっぱダメだよな」
明らかに残念そうに苦笑いを浮かべる沙織。
「ちょ、ちょっと待てって!!」
その沙織に荒北は焦ってストップをかけた。
キョトンとする沙織。
その様子に荒北は頭をかいた。
「えぇと、何だァ、、、色々とツッコミどころが多すぎて困んだけどォ、、、。何でテメェが俺から距離を取らないといけねェんだ?」
っつか、どっちかっつーと離れるべきなのは俺の方なんじゃナイ?