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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第6章 秋は夕暮れ①


そして彼女は俺に向き直って、

「ふむふむ!罪滅ぼしのつもりだったらまずは暖かい草を敷いてくれですって?了解です!ウサ吉さん!」

また笑った。

「ということでご主人!まずは一緒に草を買いに行きましょうか!」

なぁ、岩元さん。
君には本当に敵わないな。


「辛いね」と
ウサ吉の悲しみを否定するでもなく、
俺を励ますでもなく。
あんな俺を見ても目を背けず。
取り返しのつかない俺の罪を
君はただ償えって言うんだな。



「えぇ?それに僕が飛び出さないようにするための網と美味しーいゴハンもいるですって?それからそれから、、、たくさんの愛情?うーむ、それは高くつきそうなので、ご主人様に確認が必要ですねぇ、、、」


全身全霊をかけて
償えと。


「割と強引なんだな」

聞こえないように呟いた。


オーケー。
その通りだ。



なぁ、香田さん。
君ももしかしてこんな風に
何か辛いことがあって
泳げなくなってしまったのか?


、、、最悪の気分だな。


それでも
全然笑える気分なんかじゃないのに、


「オーケー、ウサ吉。全部用意してやるよ」


思わず笑ってしまうよな。
このまっすぐで強い小さな騎士と一緒だと。




俺は自転車からは逃げたけど、
ウサ吉からは
絶対に逃げないと
君の前で誓おう。




数日経って、インターハイメンバーを辞退した後、寿一と話して、君の凄さをまた思い知った。

俺には俺のことをこんなにも必要としてくれる仲間がいたのに。
そんなことも忘れてた。


「1人だったらできないことでも、誰かが隣にいてくれたらきっと頑張れると思うんだ」
彼女の言葉が蘇る。


岩元さん、やっぱり俺は
君が嫌いだ。
どうしてそんなに綺麗なんだって、

妬いてしまうよ。


だから俺は必ず
戻ってくる。
もっともっと強くなって。
君に負けないように。




そして、3年。
俺は香田さんと同じクラスになった。
仲間のおかげで
走れるようになった。
これまでで一番強く、速く
走ってみせるから。


今度こそ。

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