第6章 秋は夕暮れ①
そんな話をしているうちに学校が見えた。
あー、やっぱ気まずいゼ。
どーすっかナー、、、。
ま、教室までは新開がいるし途中で会ってもなんとかなんダロ。
問題は教室に入ってからだナ。
奴は何だかんだ遅刻しねぇから、もう席には着いてンだろナ。
、、、っつーか寝てるかもしンねぇ!
階段を上り、3年の教室がある階に着く。
そーだ!ソレだヨ!どーせアイツは寝てンだろォ!!
俺はその横をスーッと横切ってだナァ、
席にそーっと座れば、、、
廊下を進み突き当たりを左に曲がれば、
余裕ッ!!
コレって余裕なんじゃナァ
教室が見える。のだが、
「イ!?」
その教室の前にやたら派手な金髪が座り込んでいた。
「イ??」
新開が一瞬、不思議そうに荒北を見たが、すぐに沙織の元に走り寄り声をかけた。
「やぁ、沙織ちゃん!おはよ!こんな所で何してるの?」
ちょ、ちょちょ、ちょっと待てヨ、新開!
1人残される形になった荒北急いで新開の後ろに隠れた。
その時、沙織の顔が少し見えた。
ヤベェ、、、久々に見た。
それはずっと荒北の頭から離れなかった沙織の顔だった。
「ホラ、靖友もおはようくらい言えよ」
新開が小声で囁く。
「、、、はよ」
本当はそんなことしたくなかったが、反論する余裕もなかった。
荒北の声に沙織が一瞬驚いた表情になったのがわかる。
「お、おはよう、、、」
沙織も小声で答えた。
久しぶりに聞いたその声も荒北の頭の中で響いてやまない声だった。
マジでヤベェ、、、。
何だヨ、コレ!
何で俺は、、、
心臓が大量の血を荒北の体に巡らせて、今にも蒸発しそうだった。
こんなにドキドキしてンだヨ!!!
新開は沙織に向かって満足そうに微笑むと教室へと足を進めた。荒北も急いでそれについて行く。
その時沙織とすれ違ったが、顔を隠した。
今、熱くてたまらない荒北の顔はきっと赤い。
それを沙織に見られたくなかった。
何でもないフリをして席に向かい、カバンを置いて椅子に座る。隣で沙織も席に着くのが分かったが、ひたすら窓の外を眺め続けた。
別に何か興味を引くものがあったわけでもなかったが、そうでもしないと荒北の心臓は爆発しそうだった。