第6章 秋は夕暮れ①
そして間もなく昼休みになろうとしているこの時間になっても荒北は沙織と目を合わせられていなかった。
トントントン、、、。
そんな自分も情けなく、荒北のイライラは溜まっていった。
授業にも集中できていない。
、、、、、
っつーかさァ、、、、
机を叩く荒北の指が速くなる。
それにはもう一つ理由があった。
始業式の時も、、、そうだった。
そンで今も、、、、
なんか俺、アイツからガンつけられてナァイ!?
沙織はただ少し荒北を気にしているだけのつもりだったのだが、荒北はそれを睨まれていると感じていたのだ。
朝、荒北は確かに気まずいと思っていた。だから目を合わせることができなかった。しかし今荒北は沙織から出る不穏な雰囲気に、別の意味で沙織を見ることができなかった。
やっぱあの時のこと怒ってンのか!?
セクハラだとかそーゆー事かっ!?
いや俺だってあン時は意識が朦朧としてたし。
そーだヨ!俺は夢だと思ってたし、、、下心だって?なかったし、、、。
いや!気持ちよかったか気持ちよくなかったかっつーと、それはもうめちゃくちゃ気持ちよかったンだケドォ、、、、?
そこ責める!?責めちゃう!?
そこはなんつーか不可抗力じゃナァイ!?
トントントン、、、
、、、、何だヨ。
トントントントン、、、
何だっつーんだヨ!
言いたいことがあるンなら言いやがれ。
もう、、、
教師が授業を締めくくり昼休みを知らせるチャイムが鳴った。
トン、、、!
荒北の指が止まる。
それと同時に荒北はガタンと音を立てて立ち上がった。
教室は我先にと購買へと向かうもの、友達と机を合わせるものなどそれぞれに分かれて騒がしい。
もう気まずいとか恥ずかしいとかどーでもイイ!!!
荒北は驚きの表情で自分を見上げる沙織の前に立った。
「オイ、、、香田。」
そして低い声で迫る。
お前が言うなら俺は、
「ちょっとツラァ貸せヨ、、、!」
土下座でも何でもしてやんヨ!!!
騒つく教室の端っこで荒北は呆然とする沙織の腕を掴んだ。