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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第6章 秋は夕暮れ①


トントントントン、、、

始業式、そしてその後の授業中も荒北の指は椅子の脚、机の上を落ち着きなく叩き続けた。

あ、、、、、
焦ったァ、、、、!


登校して教室に入った時、荒北がまず思ったのはこうだった。
インターハイが終わり荒北達3年は受験勉強に集中するため基本的に部活には出ないようになった。
これまで朝練で毎朝早く寮を出ていたから他の生徒に会うこともなかった。
しかしそれがなくなった今日、荒北は他の生徒、いや沙織に会ってしまうのではないかとビクビクしながら登校した。特に沙織は女子寮に住んでいるため会ってしまう可能性が高い。
最悪、寮の出入口で会い、そのまま教室まで一緒になんてこともあり得る。
だから荒北はそうならないために身体中の神経を研ぎ澄まして自室を出た。
キョロキョロと周りを見回し寮の出入口を警戒する。そんな荒北の肩を新開が叩いた。
「よっ!靖友っ、久しぶり!」
「うわぁっ」
驚きのあまり飛び跳ねた荒北を見て新開がキョトンとする。
「なんだよ、その反応。もしかして誰かと見間違えた?」
「ウッセ!そンなんじゃねぇヨ!」
「もしかして沙織ちゃんとか?」
図星を突かれ荒北は一瞬固まったが、すぐに声を荒げた。
「、、、ッ!バァーカ!!何でアイツなんだヨ!!」
「いやぁー、おめさんがビビるのって彼女くらいかなぁって」
新開はパンを頬張りながら笑った。

クッソ、コイツはインターハイ振りだってのに相変わらず変に鋭い。んで、歩きながらパン食ってンじゃねーヨ!っつーか、それでも無駄に爽やかな所がムカつくぜ、、、。

「ハァ!?俺がいつあんなやつにビビったヨ!?」
「そういえば彼女インターハイ来てた?」
新開はまたパンを頬張る。
「、、、ッ!話をすり替えるな!バァーカ!」
インターハイという言葉に荒北はまた一瞬固まった。
「おめさんは見なかったのか?」
新開はまっすぐ荒北を見た。荒北はその目を見ることができなかった。
「、、、見てねぇ、、、」
「そっか。俺もチラっと見ただけで話せなかったんだよ。もしかしたら似た誰かだったのかな」

っとにコイツは何でこう痛いトコばっかり突きやがる、、、。

荒北はあの日のことを思い出して顔をしかめた。
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