第6章 秋は夕暮れ①
本当は楽しみにしてたんだ。
早く夏休みが明けないかなって。
アンタとどんな話をしようかなって。
もしかしたら何でもなかったかのように、、、
沙織の頭の中に、インターハイ最終日、自分を見て初めて笑顔を見せた荒北の顔が浮かんだ。
いや、それ以上に、、、
アンタと笑って話せるかもなんて、、、
期待してた私は
バカだった?
俯く沙織を窓から流れ込んだ風が包みこみ、沙織は思わず目を閉じた。
かすかに荒北の匂いを運んだその風は、前に感じたよりも冷たかった。
こんなことになるんなら、
見に行かなければ良かったかな、、、
インターハイ。