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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第6章 秋は夕暮れ①


忘れてた。
佳奈のメガネに気を取られて完全に忘れてた。
私、アイツと会いづらいんだったァア!!

ニヤついていた沙織の顔はどんどん青ざめていった。

も、もう来てるかな?
どんな顔して入ろうか?
ここは自然に、、、
自然に隣に座って、
「おはよっ!荒北!いやーインターハイ、どうだった?」
、、、、はい、却下ー!
どうだったじゃねぇっ!お前見に来てたじゃん!!

沙織は頭を抱えた。

えー?じゃあ、えっと、、、逆に開き直る?
「おっはよー!荒北!アキちゃんとは最近どうっ!?」
ーーっ!無いっ!無いでしょっ、これはっ!
ケンカ真っ最中だったら、ってかもし別れてたりしたら、、、、シャレになんないでしょ!!!

沙織は扉の前でしゃがみこんだ。
目を回す沙織の肩に突然ポンと大きな手が乗った。

「やぁ、沙織ちゃん!おはよ!こんなところでどうしたの?」
「うわっ!!」
突然のことに驚いた沙織が振り返るとそこには、爽やかに笑う新開がいた。
そしてその後ろには、、、案の定、荒北がいた。
「、、、はよ」
その表情は新開に隠れてよく見えなかったが、荒北がおはようと言った気がした。
「お、おはよう、、、」
とりあえず挨拶を返す。

ん?あれ、、、?
すれ違い様、沙織は荒北をチラリと見たが荒北は全く沙織を見なかった。

「そろそろチャイム鳴るよ。一緒に入ろ?」
新開は相変わらずにこやかだ。教室のドアを開ける腕は前にも増して日焼けした肌が男らしい。

再び荒北の顔を見る。まだ目は合わない。
荒北も少し焼けてるか。
あんだけ走ったんだもんな、、、。
席に着きながら、沙織はインターハイの日のことを思い返した。

「おはよう!インターハイすごかったね!カッコ良かったよ!!」
なんて佳奈なら言うのかな?

沙織はそーっと隣の席の様子を窺った。
荒北は窓の外を見ていて、、、やはり目は合わなかった。


ねぇ、荒北。
やっぱりアキちゃんに何か言われたの?
だからこっちを向かないの?


荒北の髪が少し秋の匂いのする風に吹かれて、サラサラと動いた。


おかしいよな?
私は今アンタと目が合っても何て言ったらいいのか分からないのに、
さっきから見えるアンタの後ろ姿がやけに寂しいなんて
笑っちゃう、、、
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