第5章 break time②
その様子を見て御堂筋はマスクの下で再び笑った。
「分かったわ、約束する」
そして立ち上がり自転車に跨った。
「ホントに!?ありがとう!応援してるからね」
佳奈も立ち上がり、お尻に付いた砂利を払う。
ホンマ、アホやな。
箱学の応援に来たんちゃうの?
「うん。期待せんと走るわ」
目の端で満足そうに笑う佳奈の顔がちらりと見えた。
石垣クン、おまたせ。
大丈夫、もうそっち行くから。
安心しィ。
自転車を漕ぎ出し、右手を挙げて口を開いた。
佳奈の温かさが未だハッキリと残った右手に心地よい風が当たる。
「もうぶつからんように気ィ付けや、、、アホ眼鏡」
安心しィ、今日走る理由がもう一つできたから。
ボクは今日これから誰よりも速く
走ってみせるから、、、。
ちゃんと見ててや、岩元佳奈。
終わり