第5章 break time②
女の子は御堂筋の手を握った。そして満面の笑顔で言い放つ。
あ、、、
「今日は負けないからね!お互い頑張ろうね!!」
また見えた。この子の後ろにあの色が、、、。
とゆーか、お互いって何?この子走るん?
こんな子供やのに。
女の子はふと自分から握った手を見て、慌てて手を離した。
「あっ!ごめんなさい!!っていうか、ぶつかったお詫びもしないで私ったら、、、あぁ、もう!どこから謝っていいのやら、、、」
ホンマ、キモイわ、、、この子。
ケド、、、
あたふたと目を回す女の子の様子に、御堂筋は思わずマスクの下で笑みをこぼした。
「いや、ボクこそ飛び出して悪かったわ。ごめんやで」
御堂筋の謝罪に女の子は一瞬目を丸くして固まったが、すぐに焦った様子で答えた。
「ううん、私も寝坊したからって急いでて、、、ごめんなさい」
ごめんやで、石垣クン。
もう少しだけ遅れそうやわ。
なんかこの子はザクとちゃうみたいや。
やからもう少しだけ、、、
「私、箱根学園の生徒で、応援に来たんです。なのに寝坊しちゃって、、、バカだよね?」
えへへと笑う女の子と目が合う。
ドクンと鳴った心臓の音が
今はなぜか心地いい。
なぁ、キミのことは何て呼んだらええ?
ザクじゃないキミの名前を知りたいんや。
「せやな。アホ眼鏡や、、、」
バカだよね、の言葉に御堂筋はぶっきらぼうに返した。
また女の子が目を丸くする。
あぁ、アホなんはボクや。
何でこんな風にしか言われへんねや。
しかし女の子は
「あはは!アホ眼鏡ってひどいよ!荒北くんも私のことチビ眼鏡って呼ぶんだよ?あ!荒北くんは私の友達なんだけどね!私は確かにチビだけど、、、ちゃんと高校3年生なのにヒドイよね!」
と言ってブーと頬を膨らませた。
なんやこの見た目で年上かいな。
あれあれそんな頬膨らませて、ハムスターかいな。
「いい?御堂筋君も私には岩元佳奈っていう立派な名前があるんです!だからアホ眼鏡なんて呼んじゃダメなんだからね!」
佳奈はそう言って、人差し指を御堂筋の顔の前に突き立てた。