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【Fate・FGO】施しの英雄

第7章 降伏





「わかった。降りるよ私」

ひとしきり泣いて、私はついに折れた。
いや、本当はカルナが"私が戦う事を望まない"と言った時には既に折れていた。

「マスター、俺なんかの頼みを聞き入れてくれて、感謝している」

「……私はもうマスターなんかじゃない」

なんだかその謝辞が眩しくて、私は捻くれた返事をした。

「それでは、___……ありがとう」


カルナは慈しむ様に私の名を呼び、微笑んだ。温かくて、優しくて、少しだけ胸がきゅっとした。


令呪の残った二画とマスター権を言峰神父に託した。
これでまた天涯孤独に……もっと言うと天涯孤独の無一文になった訳だけど、不思議と後悔はなかった。



「……どうかしたか?」

「何でもないよ」

本当は私もありがとうと伝えたかったのだが、彼の顔を見るとなんだかやっぱり気恥ずかしくなって笑って誤魔化した。
見透かす様なカルナの青い瞳が私を射止める。
ガラス玉のように透き通ったブルー。


「___」

「カル、ナ?」

私はふわりと抱き締められた。どこか冷たい印象があった白い肌は包まれてみると温かく、ずっとこのままでいれたら良いのにとさえ思ってしまう。

「___がマスターで、俺は幸せだった」

「え……ど、どうしたの、いきなり」

「俺はいつも一言足りないらしい。なので伝えておこうと思う。アルジュナとの再戦の為、オレの誇りの為に戦うと言ってくれた事、本当に感謝している。ありがとう」




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