第1章 人の縁
帰ってシャワーを浴びると
ふと高校時代を思い出した
そういえば大倶利伽羅先生元気なのかな
もしかしたらもうあの学校には
いないのかもしれない
居たら送迎会に来てるはずだし。
今更王子様に会ってもなぁ
思い出が壊れるなら綺麗なまま
置いておきたい気もする
シャワーを終えて
携帯を見ると通知ランプが光っている
社員からかと思いきや
メールのタイトルには
「結婚しまーす」
と記されている
差出人を確認して
胸がざわつき本文へスクロールすると
「燭台切光忠」
と目に入ってきた
あの時の彼女が遂に燭台切先生と結婚
やけに胸がざわざわする
もちろん祝福する気持ちでいっぱい
だけど私と大倶利伽羅は…
考えても無駄だからやめた
メールの返信には
「おめでとう!
結婚式には出席します」
だけにした
余計なことを書いて水を差したくない。
ベッドに倒れこみ
放心状態に陥った。
結婚というパワーワードは私には毒らしい
したいとすら思ってなかったのに
いざ周りが結婚すると
何故か負けたような気分になる
惨めだ、とことん惨めだ
自分で選んだ道が全て間違いだったのか?
そんなはずは無い
だってあの時の最善を選んだもん
もう今は考えたくない
ベッドに潜り眠りについた