第1章 人の縁
酔い潰れている男性社員達を起こし
お開きにしませんかと課長に言うと
女性社員は逃げる様に帰っていった
別に会社では嫌われている訳では無いけど
皆面倒事が嫌いなので
仕方なくタクシーの手配をし
潰れている人を順番に外に出した
全員の家を把握しているはずもなく
適当に相乗りさせて見送り
やっと一息つけた
「はぁー疲れた」
声を漏らしため息をつくと
先生方も解散するようで店の外に出てきた
「どうした?疲れきっておるぞ」
「酔い潰れた人が多くて」
「飲み会とはそういうものである」
「分かってるんですけどもうちょっと節度欲しいです」
「カッカッカ!それは難しいわ」
「人に迷惑かけ過ぎない人種はいないんですかね」
「人は皆持ちつ持たれつというやつだ」
「はぁ…」
山伏先生はいい人なんだけど
共感を求めている時に
ド正論を突きつけられると少し苛つく
「タクシー来たんでお先に失礼します」
知らない先生達にも軽く会釈して
やっと送別会が終わった