第1章 窓辺の君
あぁ、重症なんだ。
(なんだその可愛さは!!!!)
帰宅後、平然としてる様で内心は大騒ぎな巻島。今日の感じをみていると自意識過剰だが、本当に名は自分を好いてくれているんじゃないかと思う。それならば田所の言う様に次は告白の手順だがと目をやるのは巻島の机の上にあるエアメールと英語だらけの入学案内。
(言ったところでって感じだよな)
誰にも話していない話。金城にも田所にも東堂にも小野田にも。
(あと数ヶ月)
留学を諦めるほど恋愛を通す覚悟はない。恋愛に関してその程度かと言われればその程度だが今大事に思う人達は自分の中でとても大事なものであるのも間違いなく、日本に居る間はなるべく一緒に居たいと思う。名も含め全員と一緒に居たい。最後の夏が待っている、くよくよしている場合ではないし悔いのないレースをして旅立ちたい。
『格好いいです』
結局あのあと言われてしまった言葉。今まで変だ変だと言われていた自分の走りを格好いいと思ってくれる人が居るのは有難い事で自信に繋がる。
それからは毎日の様に名と一緒に帰る事が増え、上からの観賞の感想は意外にもチームへの自分の立位置というか、配慮をするための参考にもなった。そして、いつも褒めてくる名に嬉し恥ずかしい思いをしながら日々は過ぎテスト期間がきた。
外を見ても誰も走っていないコースを見て残念に思う名。テスト期間中は部活が休みなため、その間は一緒に帰れないなと思っていると、珍しく隣の席に誰かが座ったと思い見てみれば
「ま!巻!··島先輩」
静かにと言うジェスチャーをしながら笑みを向けてくる巻島と、出かけた大声に恥ずかしくなる名。
「テスト勉強ですか?」
とこっそりきけば
「まぁな。それに、名が居るしな」
そう言われ、いちいち恥ずかしくなってしまう自分もいい加減落ち着いてほしいと思う。そして静かにお互い勉強を進めればちらりと目に入る巻島の勉強。英語がつづってあるノートやらを見て
「先輩英語得意ですか?」
と帰りがけにきいてみれば
「まぁまぁショ。」
と返ってきたので
「じゃぁ明日教えてもらえませんか!?」