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【弱ペダ・巻】追いかけつつ、追われつつ

第1章 窓辺の君


と、大胆に、でもダメ元で訊いてみれば、良いよと言われた次の日、結局巻島は部活での勉強会で図書室に行くのが遅れてしまい
「悪かった」
と図書室へ向かった時には下校時間で、その日はただ名を迎えにいくだけになってしまった。
「他の教科もありますし」
と名は言ってくれるがなんだか申し訳ない気持ちと以前、箱根に向けて小野田達が家にきたこともあり
「仕方ねぇから俺の家でやっか?」
と自然と誘ってしまった。
「先輩の家でですか?」
言った後に後悔したが、引き下がることもできず
「あぁ、名が良いなら」
と断られる覚悟で言って、そして名が家に来ることになった。あの後、名は少し恥ずかしそうにじゃぁと言ったのだ。
(こんなもんか)
部屋を片付け、名を迎え入れる支度をする。あの辺りに座るのかと想像するとなんだかむず痒くなるのは気のせいではない。言っていた時間が近づくにつれ緊張してくる。いつ来るか、いつ来るかと思っていると、チャイムが鳴り、鳴ってしまったとも思う自分にどぎまぎしてインターホン画面に映る名を迎えれば本物で、まじまじと見つめていると
「あの」
と声をかけられ我にかえる。
「ま、まぁ、上がるっショ」
「は、はい」
お互いギクシャクして緊張しているのがわかる。部屋に通し、名から手土産を受け取り、茶菓子を取りに部屋を出れば
(き、緊張する!何話せばいいんショ)
と気を重くしながら茶菓子をもって部屋に入ると
「あ」
と名は本棚の方に身をかかげていた。目が合うと恥ずかしそうにして笑ってごまかし、そのいつもの感じにつられて巻島も緊張が取れ
「あぁ、これか」
と海外のロードバイクの大会のディスクを取る。
「有名な大会のやつだ。コレ見ると勉強出来なくなるからまた今度な」
緊張が取れて直ぐ様いつもの様に振る舞うと、『今度』と言うフレーズに照れている名に気づいて、一緒に照れてしまう巻島。
「ま、まぁ勉強すっぞ」
「そ、そうですねっっ」
そうして始まった勉強会は最初から室温以外で暑くて仕方なかった。勉強を始めると説明しながら頷いていく名が
「何がほどほどですか!めちゃくちゃ出来るじゃないですか巻島さん!!」
と、それはそれで面白かったのだがその後に、あっとした顔をして
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