• テキストサイズ

【弱ペダ・巻】追いかけつつ、追われつつ

第5章 近づく再会


それからまた一年。
変わった事と言えば裕介さんからの返信がとうとう月一に増えた事。結局メールをしたところで返信は来ず、手紙に戻すと貯まっていく罪悪感からかやっと返信がくる様になり、時たま小野田君の返信に自分の返信も混ざっているのを見ると交互に返信されているのだなと思った。相変わらず小野田君との裕介さんへ手紙を書く時間も続き、おかげで自転車部との交流も続いていた。
「おめでとう」
「ありがとう。苗さんも毎年手伝いに来てくれて」
ニコニコする小野田君はすっかり男らしく、けれども小野田君の雰囲気は残しつつ三年生になったものの
「優勝校選手感はないなぁ」
「最後までそれは身に付かなかったな」
と去年敗北した総北は、今年、再優勝を果たした。今年は手嶋先輩達がOBとして駆けつけ、先輩伝えに金城先輩達も来ている事を知る事が出来たものの姿を見たのは最後の表彰式。
「また登れるなんて思わなかったよ」
と嬉しそうな小野田君。
「去年は悔しくて、反対に悔しいって思う事が自分に出来たことも嬉しかった。」
そう言うところが小野田君らしいなと思いながら
「おかげで勝てたし、しかも優勝だよ!凄いよ!」
それに
「頭も撫でてもらって羨ましい・・・!」
そう言うとはにかむ小野田君に、全く、本当に二人揃って巻島ファンなんだからと笑えてしまう。表彰式のあとよくやったと小野田を誉める裕介さんを見たが、その光景はきっと今の自分ではどうしようもない位、遥か先に思えてとても羨ましく、微笑ましかった。
「苗さんは進路どうするの?」
「私は専門。素養も大事だとは思うけど、勉強したい内容分かってるしなにより学費も安い!」
そう意気込めば
「凄いなはっきりしてて」
と誉められる。
「小野田君は?」
「・・・・何かロードバイクに携われる事がしたいな」
アニメが好きで、アニメ友達が作りたかったのがひょんな事からロードバイクに関わり、優勝を果たし。負けたのを機に、自分の中になにくそと思えるものになっていた事に気づけた時は驚いた。ロードバイクで出会った人達は皆良い人達ばかりで、そりゃ嫌だなと思う人も居たけど、この部に入っていなければこんな素敵な出会いはなかったと思う。
「決まっている事を探しにいくのも良し!未知なる世界を求めに行くのも良しだよ!」
と進路の話になるときらきらしだす名は
/ 44ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp