第4章 別れ、再会、しばしの別れ
東堂と巻島、二人の後を追いかけて何度坂を登り下っただろう。
間近で見る戦いは素晴らしく、巻島が帰ってきたと実感させる。
やっと終わった頃には三人共息を切らし、けれども漂う充実感に上二人はとても満足そうで、話も終わり解散になった時
「苗さんに・・・」
と小野田が口を開く、途端巻島は苦笑し
「苗さんには会われて行かないんですか?」
とその表情をしても小野田はひくことなく言い切る。隣では良く言ったとの表情の東堂。
「いや、あの、僕だけ会うのも不公平というか、苗さんは彼女さんですから、僕よりも会うべき存在と言いますか!」
と小野田はあわてふためいた後、
「僕達二人して巻島さんに会いたかったので、苗さんにも会ってほしいといいますか」
と申し訳なさそうに伝えると、巻島はため息をつき、それは会わないという返事に聞こえた小野田は少し寂しい思いを持ちながら巻島と東堂を見送り解散した。
見送られながら巻島が坂を降りて行くと、すっかり暗くなった周りと少し涼しくなった夜風を受け髪が靡いていく
「会ってあげてほしいといいますか」
との小野田の言葉を思い出しては、何度返事を出そうかと思ったかと思い返す。けれども、なんて書けばわからず、率直に書くのもみっともなく、それでも来る手紙に甘えていた。そもそも留学するまで、それで終わりだったはず
「だったか?」
そう言えばそうだ、最初は留学するから付き合わないと言っていたこちらの言い分を、名がならば引き受けると言ってつきあい出したのだ。だから今はその悩みは名が引き継ぎ、だから手紙もまだ付き合っている感じで
『まだお付き合いしてますか?』
と心配な文面が届くのだ。だったら、なんだ、こちらはすっかり別れたつもりで引きずっているのにあちらではまだ続いているのか。
(これで違ってたら最悪っショ)
とそんな事を思いながらもにやけてしまう自分の顔。田所の車がある駐車場に着き、車の裏に居る金城達の人影を見つけると
「なぁ、金城。俺まだ名と付き合ってる事になって・・るっぽ・・・い・・・」
と車の裏に回れば名の姿。
「ぽいって何ですか!ぽいって!?」
後ろでは金城達がにやついている。
「彼女でも出来たんですか?!」