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【弱ペダ・巻】追いかけつつ、追われつつ

第3章 終わる夏


「金城だ、宜しく」
「田所だ」
二人から挨拶され、焦りながら
「苗名です」
と挨拶をすれば
「君が図書室の君か」
と金城。
「とうとう会えたなと言ってやろうと思ったが、もうすっかり仲良しさんみたいだな」
とにやつく田所にはっと気づけば巻島と手を繋いだままで、慌てて離そうとすれば巻島に止められる。
「水くさいぞ巻島」
「悪かったっショ」
「最近一緒に帰らなかったのはこれか」
「彼女になったっショ」
堂々と彼女と言う巻島にかーっと顔が熱くなる名。
「真っ赤だな」
と笑う金城達。そして、その日は巻島がどれだけ名を気にしていたかを話され、その都度恥ずかしそうにする巻島を見ては一緒に恥ずかしがっていた。
「毎日金城達と食ってる訳じゃねーし、空いてる時は一緒に食おうぜ」
「はい」
校内で手を繋ぐのはお互い恥ずかしいので出来ないが、友達の前で堂々と彼女と紹介して貰えるのは嬉しいことで、その日から時たま一緒に昼食を取ることになった。ある日の昼食時ふと鳴った電話に出た巻島
「あぁ、あぁ、相変わらず騒がし、いや金城達じゃな、いやだから、いや、あぁもう五月蝿いっショ!」
電話越しにわーわー聞こえる男性の声
「彼女だ彼女!そう、あの時の、違っ、バッお前」
珍しく表情豊かな巻島を見られてそのやり取りに笑っているとポイっと携帯を渡されてきょとんとする。
「東堂だ」
と呆れた顔をする巻島
「話してぇんだと」
渡された携帯に出ると賑やかな声。こちらの話す隙も与えず食事はあれを、マッサージはこれを、メカニックはここをと色々教えてくれて、その都度はい!はい!と話している名を見て微笑む巻島になんやかんや言って東堂と仲が良いのだとしみじみ思った。しかし東堂の話は長く、巻島にパッと携帯を取られ
「昼休み終わっちまうから、じゃな」
と強制終了されていた。東堂にも自分の事を相談していた事を聞き、自分の事を気にかけてもらえている事を知って安心する。そうやって巻島の友人と知り合い、金城達と昼食をとることも増え、その間にインハイが巻島達の中でどれだけの価値あるもので、後輩を想い、この二年間色々な事があったのだと知っていくと、ふと名はそんな金城達にも伝えない留学の事を知っている自分が心苦しくも感じた。
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