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【弱ペダ・巻】追いかけつつ、追われつつ

第2章 不思議な関係


との文字が何を意味するのか
(断られるってことかな)
けれども先程の優しい声から断られる感じはない。いや、もしかしたら自分に気をつかってくれているだけかもしれない。どちらも思い付いてしまう自分にまた頭痛がきてしまう。それでも先程の優しさは巻島らしいと思い、今はそれで充分だと眠りにつき、体調を万全にした週明け。
「な、なんで」
「お、来たな」
朝、バスから降りるとバス停に巻島の姿。
「今日はちゃんと待ってろよ」
とだけ言われ、巻島は自転車部の方に走り去ってしまった。
(返事、駄目なら朝から言ってくれれば良いのに)
そうすれば断られると緊張しながら放課後まで過ごさなくてすむのにと思いながら放課後になり、巻島からの連絡がきて図書室を出て階段を降りていく。初めて一緒に帰った時は胸が踊る時間だったのに、今は重い足取り。
「よぉ」
「お待たせしました。」
足どりが重い名とはうってかわり巻島の表情は緩やかで、春が終わり夏へ向かう生暖かい風が二人の間を通り抜け、その風で靡く髪をかきあげる姿は男子高校生の出せる魅力ではないとしみじみと巻島を見つめているとふと目が合い、それを合図に
「名あのな」
と本題が始まった。
「はい」
断られてもこの関係でいたい。よく恋愛ものである"仲良くいよう"と言うのは断られる側が思う事なのかもしれない。だから
「俺もお前の事···好きだよ」
と言われてしまい驚きを隠せず巻島を凝視してしまう。けれども微笑んでくれる巻島を見ると今のは本当の事で
「けど付き合ったりはできねぇ。と言うか、しない方が良い」
と、次に出た言葉に頭が一瞬追い付かなくなる。
「な、なんでですか!?いや、まぁ私も付き合うとかは分からないんですけど」
意味が分からない。両想いであとはくっつくだけだ。なのに付き合えないと言うのは結局自分以外にも好きな子がいる?一人を選べない?いや、巻島はそんなタイプの人ではないだろう。
「あ、あの、せっかく両想いになれて、なのに一緒に居たくないって」
「居たくないって訳ではねぇんだけど、けどな」
「けど、なんですか。」
「付き合っても9月までだ」
「·····は?」
目をきょとんとさせる名を見て、閉ざされた口はこちらの言い分を聞く態度だと諦めた様に笑う巻島。
「全くなぁ。誰にも言わねぇつもりだったんだけどな」
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