第2章 不思議な関係
先輩と呼ぶだけで気にされ、変な噂が立たれても嫌ではなく、名前で呼ばれるのが恥ずかしいのに呼んで欲しいと言われる自分は巻島にどう思われているのか。
「ど、どうって!?」
と巻島が困っているのが分かるが開いた口はもう止まらない。
「ただの後輩ですか!?」
名の質問に何も言えない巻島。なんたってこちらとて気持ちを伝えるつもりはないけれど名の反応を見ているとそんなことは言ってられない雰囲気で
「た、だの後輩ってわけじゃ、ないっショ」
「じゃあなんですか?」
「つーか名も好きなやつがいんだろぅ?俺なんかといつも帰ってたらまずいんじゃねーの?」
そう巻島が返すと、名はあっけに取られ、
「私の好きな人は裕介さんですよ!!!」
と巻島を残し去ってしまった。そして今度は巻島があっけにとられ、半ば追い付かない頭でゆるーくペダルを回して帰宅していく、
『好きな人は裕介さんです!』
その言葉が脳内で無限ループして
(じゃあ両想いか?)
だから恋愛小説を読みふけていたのか?何がどうなってそうなった。
「そんなんしなくても好きだっつーの」
そもそも告白というのはあんなふうに啖呵きって言うものだっただろうか
「意外とお子ちゃまな奴」
と笑うと、色々整理が済んで、途端顔が赤くなっていく。
(両想いかぁ)
と嬉しくなる反面、あんなふうになってしまった名をどうしたら良いものか。そして、家に着き携帯を見ると画面には
『すみませんでした』
の文字。
「すみませんって何ショ」
と、いつもだったら名への返信はどうしたらいいかと一度考えてしまうのに、この日はさらっと出てきて
『構わないっショ』
とだけ送ると返信はなかった。今頃この返信に頭を巡らせてあたふたしている名を想像すると愛しく思う。そしてその日、名からの返信はないまま夜は明けて、学校が始まり、返信が来ることなく部活の時間になり、図書室を見れば
(あ?)
いつもなら居るのに、今日は居ない名。
(そんなに俺の事····いやいや、あっちが言ったんだろ)
そうだ。こちらから避けるなら分かる、何て返したら分からなくなって気まずくなってっていうなら分かる。だが、
『好きな人は・・・』