• テキストサイズ

【弱ペダ・巻】追いかけつつ、追われつつ

第2章 不思議な関係


あの日、あのテスト勉強の日、確かに名前で呼んでくれてそのまま帰りでも呼んでいてくれていた。
(い、いつからだ)
それすら曖昧な記憶であることにやはり名を見ていなかったと思い、焦る巻島。
「先輩?」
ぼうっとする巻島に心配の声をかける名にはっとして、図書室を除けば男子学生はみあたらず
「名一人か?」
と聞けば
「たまに友達はいますが基本一人ですよ?」
「そ、そうか。」
と先にスタスタと行ってしまう巻島を不思議に思いながら名があとを追う。
「どうしたんですか?」
「え?」
「今日は何か雰囲気というか元気がないというか」
「そ、な・んでも・・・」
ないとは言い切れない。
「あー、あれだ。」
一緒に居られる時間もないのだからその時々に解決していかないと
(心残りになる)
「あー、いつから先輩だけで呼ぶようになったっショ」
途端、名が痛いところを突かれたという表情をしたのを見てわざとやっている事に気づく。
「い、いつからでしょうねー」
笑ってごまかすが、わざとならなんでそうするのかの理由を知りたい。
「いつからだ?」
真剣な巻島にたじろぐ名
「い」
「い?」
「そ、その」
「なんだよ」
「な、なんで二人きりの時にしか名前が呼べないんですかっ」
とやっとの返答は、質問を質問で返さすものだった。
「い、いや、だからそれは」
それはこちらが恥ずかしくなってしまい、付き合ってもないのに名前で呼ばせてるなんて周りからなんて言われるかも焦ってしまうし、けれども独占欲というか、そういうものから言ってしまった訳で、こちらとしては今ききたいのはそこではなくて
「私と勘違いされるのは嫌だからですか?」
その名からの言葉に、色々考えていた巻島はあっけに取られてしまう。
「違うっショ!俺が、俺が恥ずかしいだけでっ!」
と認めてしまったと後悔し、
「あー」
と片方の手のひらで顔を隠す巻島。
「私と変な噂がたつのが嫌だからってことじゃないんですか?」
「違うっ!」
何を馬鹿な事を思って少し強めに返すと名は沈黙してしまい、そして、その沈黙をやぶったのは
「じゃ、じゃあ先輩は私のことどう思ってるんですか?!」
と名の方だった。
/ 44ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp