第2章 不思議な関係
(そりゃ帰るよね)
テスト最終日に残る必要性もないだろう。いつもより早い下校時間、誰も居ない玄関を見てため息が出る。
(会えるとはさ、思ってないけどさ。)
それでも会いにきてくれるのではと思って期待していたのがハズれてしまい、凹みながら外に出ると
「こんな時まで残ってたのか」
と聞き慣れた声。
「ちゃんとテスト出来たのかぁ」
と玄関を出たところで笑みを浮かべ名を待つ巻島。
「巻、あ、ゆ、裕介さん···」
名前を呼ばれ嬉しそうにする巻島の反応に戸惑いながら身構えてつつ、
「英語は上手くいきそうですよ」
と答えると
「そっか俺が見てやったかいがあったな」
と巻島はTIMEを引き
「名」
と名前を呼んで待つ。
(期待・・・していいんですか?)
相手は三年生。先輩で後輩で、受験生で、部活も一生懸命で
「裕介さん」
と近づけば
「学校で呼ばれると恥ずかしいっショ」
と頬をかく。
(やっぱり呼ばない方がいいのかな?)
そう思いながら一緒に帰り
「先輩は受験、どこ受けるんですか?」
「あー、まだ決めてないな」
「え!?」
「ま、そんな反応になるよな」
余裕そうに笑う巻島を見ると、それはもう決まっているようにも見えてますます距離を感じ、他の話題をと
「彼女とか作らないんですか?」
「あー」
「好きな子は?」
「すっ?!」
「作らないんですか?」
と聞いてしまった本題を真剣に聞いてくる名に
「今日はどうしたっショ」
と少し困った顔で返す巻島。
「そーゆーのはその内な」
と頭を撫でられれば何も聞けなくなってしまう。
「それで誤魔化されませんよー」
「わかった。わかった。ま、その内だ。」
と結局誤魔化され、いつものように帰っていった。部活休みが明け、今日からは姿が見えると嬉しくなりながら図書室のいつもの席につき外を覗く。自転車部が既に準備を始めて、他の運動部は準備運動を始めたりと校庭が賑やかになるのはテストが終わった事を物語る。
(あれ?まだ裕介さん来てないんだな)
「名」
同じタイミングで呼ばれて振り向けばお目当ての人が目の前に
「あれ先輩、部活は??」
「今から行くっショ。そのなんだ、名が図書室入るの見えたから、その、まぁ、それだけだ」
と恥ずかしそうにする巻島に