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【暗殺教室】偽る君へ

第2章 依頼の時間


頭にタオルを乗せて、スマホを片手に行ったり来たり。時々メールを返信してはまたウロチョロ。


帰宅してお説教タイムから逃げるためにシャワー浴び、覚悟を決めていざスマホを取り出すと。
メールが一件。差出人はお小言マスター、柊さんだ。


それから今までずっと柊さんとやり取りしていたのだけど、困ったことになった。


要約すると。
長期に渡る依頼を私に受けてもらいたい、
今回のクライアントは柊さんの知人から、
詳しい内容は明日の朝直接依頼主に聞くこと。


こんな感じか。


一見するとただの仕事を斡旋した、という報告だけど。問題はここからだ。


依頼主は私の家での交渉。それから私の素顔での話し合いを求めているようだ。
つまり、変装せず包み隠さず私と会いたいと。


「まいったな」


片手に力を入れ、空いてる手で口元を隠してぐるぐる、ぐるぐる。


場所の提供に関しては別にどうでもいい。私の家には完全防音された部屋がある。その部屋の窓はすべてすりガラスになっていて、覗き対策も完璧。
中の情報が漏れることはほぼあり得ない。


問題は、変装が出来ないことだ。
基本的に私はクライアントと顔を合わせない。あちら側がどうしてもと言う場合のみ、変装用マスクで応対している。
クライアントと言っても、その依頼が終われば敵に回ることもある。次の標的になる可能性も少なくない。

そんなことが当たり前の世界でそう易々と素顔を晒すはずがない。


例え私の恩人である柊さんの知人であっても、だ。


「どうしたもんかな」


くしゃくしゃとかき混ぜたタオルは、ほんのり湿っていた。
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