第3章 訓練の時間
さて、次は私の番だ。
例え元軍人相手でも、私の分野で勝負するなら負けはしない。ただ問題は一つ。依頼内容の中に、面倒なものが入っている。
3年E組の生徒に暗殺者だと勘づかれないこと。あくまで中学生として振る舞うこと。
つまり、暗殺スキルは極力使ってはいけない。
この内容は烏間先生ではなく、柊さんからの指示だ。私にはその意図が全くわからないが。
「どうした? 来ないのなら君のチャンスは渚君に回るぞ」
「いえ。行きます」
軽く走り烏間先生の懐に入る。
そして。
先生の左肩に手を置き。身体を傾け。
片足で着地と同時にナイフを左手に、逆手にして持ち替え。一気に左腕を引く。
良し。手応えも十分。
「……加点だ。次!!」
それだけかい。
そこは"暗殺者"として扱うんかい。
「柊くん今のなに? すっごい!!」
「烏間先生を飛び越えるなんて。身軽ね」
「ありがとう、茅野さん。片岡さん。僕もあんなに跳べるとは思わなかった」
小柄な茅野さんに、私よりも大きい片岡さん。
女子の中では話してる方の二人、だと思う。
ほぼ満遍なく話し、話しかけられているため特別仲が良い人はまだいない。
「本当にすごいね。あんなの俺じゃ真似出来ないや」
あっ。話しかけてくる人ナンバーワン。赤髪のカルマ君だ。
「初めて小さいことを活かせれたよ」
転入初日同様、授業中ずっと話しかけてくる。
かといって休み時間には離れていくから距離感が良くわからない。