第1章 東京大雪
「キレイだ」
オレは彼女の脚の間から顔を上げ、彼女の頬を撫でた。
トロリとした笑み。
彼女の体に血液など通っていないはずだが、目を潤ませてオレを見つめる彼女の顔は、蒸気しているように見えなくもないのだ。
「キレイだぞ」
彼女の耳元でそう囁き、ガラス細工みたいなその耳をパクリと咥えた。彼女の耳たぶはとても薄い。このままシャリッと食べてしまえそうだ。しないけど。
耳への愛撫をしながらズボンのベルトを外し、パンツをずり下げた。
部屋も彼女も凍えるくらい冷たいはずなのだが、オレの男根は熱く熱を持ち、高々と反り立っていた。
寒いと勃ちにくいなんて話もあるが、彼女の持つ冷たさは決してオレを萎えさせることはない。逆に、いっそうオレを燃え立たせるのだ。なぜかって、オレはそれを愛の証だと思っている。
彼女の太ももに腰を押し付ける、燃え滾る男根の熱を冷ますような冷気が心地よかった。
「…いいか?」
「いいよ」
「止めても、いいんだぞ。オレはお前とこうして抱き合ってるだけで、幸せだから」
「そんなの私がイヤ」
「だが」
「お願い」
彼女は蕩けたような顔で両手を伸ばした。
「欲しくて欲しくて、死んでしまいそう」
彼女の言葉がオレの耳を甘くくすぐった。
仕方ない。
そもそも断れるはずがないのだ。オレは彼女を愛していて、彼女の頼みなら何だって聞くと決めているのだから。