第1章 東京大雪
着物の隙間から手を割り入れ、胸へと伸ばした。
氷のような肌はゾクリと冷たいけれど、その表面はわずかに濡れて、手を這わせるとツルツルとすべった。けれど硬い訳ではない。人肌と同じように柔らかい。
丸い乳房を手のひらで包む。ふわふわとして、それでいて取り落としてしまいそうなほどにすべすべと滑らか。この感触は、彼女の他には世界のどこにもないだろう。
舌を食み、乳房を弄んでいると、彼女が自分の足をオレの足に絡ませてきた。
オレは彼女の胸元から手を引き抜き、下半身に添わせると、着物の合わせをバッと開いた。
きっちりと着込まれた着物を脱がせるというのは一苦労だ。普段洋服で暮らしているオレには、どうしても理解の及ばない所がある。
けれどまあ、何度も剥いできた衣装だ。
今日も彼女の美しい脚がオレの前に姿を現してくれた。
足袋を脱がせ、あらわになったつま先を口に含むと、彼女がんんっと声を上げた。
彼女には体臭というものがない。いや、ほんのりと、冷え冷えした香りはするかもしれない。
しかしとにかく、彼女のつま先からは、舌が焼けつくような冷たさがあるだけだ。氷を口に含むような、ツンとした痛み。
けれどオレは彼女の脚を愛撫することを、やめる気はなかった。つま先から足首、ふくらはぎ、ひざ裏、内ももと、丹念に舐めまわした。
舐めた分だけ彼女の脚はしっとりと濡れ、オレの口内を水分で満たす。これも彼女の分泌液である、と思うと、甘露か何かみたいに飲み干さざるを得ない。