第5章 "ほ…惚れたのだよ…!"
薄暗くなった廊下を緑間くんと歩く。
普段は騒がしい廊下はしんと静まりかえっていてヒヤリとした感覚になる。
思わず冷や汗が出た。
その時、
"ピチャン"
亜美「うわぁっ!!」
突然の水音に驚き、思わず緑間くんの腕に飛びついてしまった。
緑間「いきなり何だ。驚いたのだよ。」
亜美「だ、だって今ピチャンって!!」
緑間「ただ水道から水が漏れただけなのだよ。…それよりも…」
緑間くんが目線を向けた先を見てみると…
亜美「…あっ!ごめんなさい!」
大急ぎで緑間くんの腕から離れる
緑間くんは少し赤面して眼鏡を上にあげた。
緑間「いや、別に構わないのだよ…。」
そう言って再度教室に向かって歩き出す緑間くん。
私も慌てて後を追う。
だけど、緑間くんは急に足を止めた。
ドンっと緑間くんの背中に鼻をぶつけてしまう。
亜美「み、緑間くん?どうしたの?」
じんじんと痛む鼻を押さえながら緑間くんを見上げる。
緑間くんは振り返ると突然左手を私に差し出してきた。
緑間「…怖いのだろう。…握っていてやるのだよ。」
緑間くんらしい上から目線。
だけど、今はそんなツンデレな緑間くんを可愛いと思った。
亜美「うん、ごめんね。ありがとう!」
そっと緑間くんの手に自分の手を重ねると緑間くんはぎゅっと握り返してくれた。
緑間「感謝するのだよ」
そのまま、くるりと顔を背け歩き出す緑間くん。
私は引っ張られるようにして後を追う。
顔が真っ赤な緑間くんの横顔を見ながら…
…………
そのあと…。
無事教室で鞄をGET。
一方緑間くんはというと、用事があると言っておきながら暗い中鞄を探すのを手伝ってくれた。
本当にツンデレです、この人は…。
そして、緑間くんが家まで送ってくれると言うのでお言葉に甘えてしまった。
その帰り道…
緑間「しかし、あの時の黄瀬はリバウンドが遅かったのだよ。あの失態が無ければあと10は取れた。」
亜美「あははっ!そうだねー!………あれ?」
緑間くんとこの間の練習試合について話していた時、ふいに携帯がポケットの中で震えているのに気がついた。