第4章 ”従え"
赤司「…ら…めない。」
亜美「…え…?」
丁度、私が鼻をすする音と、赤司くんが発言するタイミングが同じでよく聞き取れなかった。
赤司「だから、諦めない…と言ったんだ。」
亜美「あきら…めない…?」
今度はちゃんと聞こえた。
力強くハッキリと。
赤司「正直、お前にそんな事を言われるとは思ってなかったよ。だけど、そんな亜美に僕は惚れたんだ。今は中途半端でも、時が経てば確信に変わるかもしれないだろ?」
そう言うと、赤司くんは私の頬にある涙を指で軽く撫でてくれた。
赤司「一つ忠告しておこうか。…春合宿の時、お前は僕を選ぶ。……さぁ、もう僕の用事は終わりだ。部活も終わった。帰っていいよ。」
赤司くんは私から距離をとると机の上にあった書類をまとめ始めた。
亜美「え…で、でも…まだ部活の時間少し残ってるから私、行ってくるよ…。」
立ち上がった瞬間手首を赤司くんに軽く掴まれた。
赤司「…僕に逆らうの…?」
亜美「そ、そんなこと…!」
するとどこから出したのか…鋭いハサミの刃先を向けてきた。
思わず涙がまた出そうになる。
赤司「僕に逆らう奴は親でも殺す…。大人しく僕に従え。」
亜美「は、はいっっ!」
私は恐ろしさのあまりダッシュで教室を飛び出してしまった。
その後のことは…今でもよく覚えていない…。