第4章 ”従え"
「あ、ねぇ桃井さん。これ赤司くんに渡してくれないかな?私、赤司くんの事好きで今日告白しようって思ってるんだ。」
そう言ったのは私達のクラスの学級委員の女の子。
スレンダーでスタイル抜群。頭も良くて生徒会の副会長。
おまけに顔も可愛くて、笑うと出るえくぼが男子のハートを掴むらしく、今絶賛人気中の美少女。
片想いしてるとは聞いたけど…まさか赤司くんだったなんて…。
この人と赤司くんが隣で歩いている様子を想像しても美しすぎる…。
桃井「あ、うん!わかった!」
そう言ってさつきちゃんが手紙を受け取る。
あー…字が綺麗…。
これが俗に言う『女子力』ってやつなんだろうなぁ…。
私には皆無だけど。
「よろしくね。それじゃ」
頬を赤く染めて小走りで帰って行っちゃった。
やっぱり完璧な人っているもんだよね。
さつきちゃんを見ると…なんだか浮かない表情。
亜美「さつきちゃん…どうかした?」
桃井「これさ…亜美ちゃん渡してくれないかな?」
亜美「え…?!どうして?」
桃井「実はね…」
そう言うと鞄の中から数枚の手紙が出てきた。
桃井「これは、みどりん…」
手紙を並べた机から緑色の可愛らしい封筒を掴む。
桃井「これが、むっくん…そして、きーちゃんが2枚に、大ちゃんが一枚…どぉ?」
何故か得意顔のさつきちゃん…。
どぉ?って言われても…
亜美「す…凄いね…」
桃井「どれだけモテるのよ…あの人たち…」
皆確かにかっこいいし、性格もいいし、
モテるとは知ってたけど…これほどとは…。
聞くとキセキへのラブレターラッシュは今日だけじゃないみたい。
って事は、さつきちゃんは毎日頼まれてる訳で…
これ全部渡すさつきちゃんも大変だよね。
特に、青峰くんとか緑間くんは受け取ってくれなそうだし。
亜美「あ、じゃあ、これ私渡しておくよ。」
そう言って赤司くんへのラブレターを指差す。
桃井「本当!?さすが亜美ちゃん!大好き〜」
ぎゅうっと抱きついてくるさつきちゃん。
可愛いけど、…胸でかいなこいつ…。
地味に傷付く私。
…とりあえず、この手紙を渡して赤司くんへの気持ちはキッパリ捨てよう!
見るとさつきちゃんに渡された手紙は先程の一枚だけじゃなかった。
本当…どれだけモテるの…赤司くんは。