第4章 ”従え"
亜美「あ、でも、じゃあ何で今日…」
私はてっきり、昨日の事で呼ばれたのかと思っていた。
でも、そういえば紫原くんは一緒に呼ばれてないし…。
赤司くんの顔を見るとすごく真剣な顔に見えた。
目つきが鋭くて…怖い…。
赤司「僕が今日、お前を朝練の前に呼び出した理由は昨日の夜の事だ。」
昨日の…夜…?
赤司「お前は気づいていたかわからないが、お前が僕の自主練習を見ていたことを僕は気づいていた。」
亜美「…!」
(気づかれていたんだ…!)
一気に血の気が引くのがわかった。
誰だって自分一人の練習を見られていたら気が散るに決まってる。
特に赤司くんはプライドが高い。
亜美「ご、ごめんなさい…。私、あまりにも赤司くんのバスケが素敵で…。思わず見惚れてしまったの…。ずっと見ていたい、そう思ったの、だから…!」
言い終わるか分からないうちに私は唇に『何か』を押し付けられ言葉を塞がれた。
(…!?)
赤司「おしゃべりは…そこまで。僕の話はまだ終わってないよ」
私は赤司くんの人差し指によって唇を塞がれていた。
それに気付いた時恥ずかしくて、顔が赤くなってしまう。
そんな私を見て赤司くんはちょっと笑ったように見えた。
赤司「僕は別に君に見られていたからといって不快ではない。約束を言いに呼んだんだ。あの時の事は、僕と亜美だけの秘密だ。…いい子なお前ならわかるだろ?」
不気味に笑うと赤司くんは私の鼻と当たるか当たらないか、のところまで顔を近づけてきた。
唇に人差し指があるせいか顔を背ける事が出来ない。
私は頷くように下を向いた。
それを見て赤司くんも察したらしい。
優しく不気味に笑いながら指を外した。