第4章 ”従え"
掃除が終わり、帰る時には外はもう真っ暗。
紫原くんが家まで送ってくれると言ってくれたのでお言葉に甘える事にした。
紫原くんの家は私の家の方向と反対なのに…本当に優しい。
そう思うと胸がキュンとした。
校門を出たところで、突然、紫原くんが立ち止まった。
あ。
と言った様子で口をポカーンと開けている。
亜美「どうかした?」
私がそう言うと紫原くんが両手を合わせ申し訳なさそうな顔をした。
紫原「亜美ちんごめ〜ん!教室にバッシュ忘れてきちゃった〜…すぐ戻るからちょっと待っててくんない?」
亜美「あ、うん!わかった。」
再度ごめんねと言って走り出す紫原くん。
私はしばらく校門の前に立っていた。
………………
亜美「お…遅い…」
紫原くんが教室に行ってからもうすぐ15分が経とうとしていた。
私達の教室は昇降口から入ってすぐだから、往復でも5分で行けるはず…。
なのに…どうして…?
不安になった私は教室に様子を見に行く事にした。
もしかしたら、紫原くんの身に何か起こったのかもしれない。
私は昇降口でローファーを脱ぎ捨て、靴下のまま教室まで走った。
"ガラッ"
亜美「紫原くんっ!?…いない。」
そこには人っ子一人いなかった。
ついでに言うと紫原くんが取りに行ったバッシュもない。
ケータイにも連絡は入っておらず私はますます不安になる。
亜美「どうしよう…。とりあえず、探さなきゃ!」
私は紫原くんがよく行きそうな場所を周った。
流石に暗いという事もあり、相当怖かったけどそれどころではない。
最終的に辿り着いたのはバスケ部専用の体育館。
見るとまだ明かりがついていた。
しかも、"キュッ キュッ"というバッシュ特有の音も聞こえる。
もしかしたら紫原くんがバスケしているんじゃ…。
私は恐る恐る中を覗いてみた。