第3章 "大好きなんだけど"
亜美「ねぇ、紫原くんはどうして呼び出されたの?」
職員室から出たところで私は尋ねた。
紫原「えーっと…売店でお菓子買った後屋上で食べてたら、眠くて寝ちゃったんだ〜」
こりゃまた可愛らしいサボりです。
でも、紫原くんらしいといえばそうだけど…
紫原「亜美ちんは〜?」
そう言って持っていたポテチを一つ私にくれた。
私はお礼を言ってモグモグ…。
亜美「図書室の本の整理頼まれてやってたの」
紫原「へぇ…一人で?」
その時の紫原くんは何かを追求するような鋭い目つきで私を見下ろしていた。
怖くて顔が引きつる…。
亜美「…どうしてそんなこと聞くの?」
紫原「俺が売店行った時、黒ちんが本いっぱい持って図書室入ってくの見たから」
ど…どうしよう…。
黒子くんと一緒だったって言ったほうがいいのかな…。
でも、図書室では黒子くんに告白されて…。
みるみる顔が赤くなった。
紫原「んー?亜美ちんどうかした?顔赤いよ〜、お熱ー?」
そう言って私のおでこに自分のおでこをくっつけた。
亜美「う、うわぁぁぁ!む、紫原くん!?」
私が驚いて2、3歩下がると紫原くんはクスクス笑ってポテチをもう一つくれた。
紫原「あはは、亜美ちん可愛い〜。可愛いからもう1枚あげる〜」
亜美「あ、ありがとう…」
紫原「やっぱり、黒ちんといたんだねー。なんか嫌だなぁ…」
亜美「…嫌?」
紫原「うん、嫌。亜美ちんは俺の亜美ちんなのに、黒ちん捻り潰そ」
紫原くんは最近よくこんな歯の浮いた事を言う。
本人は冗談のつもりだと思うけど言われているこっちはドキドキしてたまらない…。
紫原「…あ」
紫原くんは持っていたポテチの袋をガサガサすると丸めてゴミ箱へ。
紫原「あぁー無くなっちゃった〜。また買ってくる。亜美ちんまたねー」
亜美「あ、うん。紫原くん放課後忘れないでね!」
念を押すように言うと紫原くんは大きく手を上げた。
わかっている…という事なのだろう。
私もお昼を食べに教室へ向かった。